2010年6月16日

道の溝

意図のない言葉の上にちる花火
さりげなくさるものいわずばらの花
どこへでも駆ける足音する梅雨よ
眺めせるうちへも建つは蕗の薹
云雀ひばり鳴くカミナリ雲のもとに水
くぐもれるふきわたる風ある日かな
威張りける者は伐られり竹垣だ
かわりゆく天気と鳴ける野良猫よ
いつのまにすぎし日々あり雨傘よ
午後なれば幾重にもなりし雨雲は
月照らす夜半のうみへ散る松葉
降りしけり時は儚し岩虫と
断崖にめざす日ノ本鳴る潮騒
蟻の餌生業終えし蟻の餌
ひとけなき朝の田圃へ響く鐘
我先に急げ商いこがね虫
不良にも不良は見える毛虫界
テンテケと毎度たのしき豆腐屋さん
産み落とし後は知るかと鬼の島
ぐみの木の亡き後に居る物置だ
大磯の海岸線に逸る浜菊
佐倉の湖畔に座る幼稚園バス
ねこのこの泣き声ひびく夕暮れにゃ
クラリオン意味のわからぬアパート群
すがしき風に舞う山萩の雫の庭
気づかれぬ僅かな絶景あり小橋
自動車道息のつかれぬ遠出組
子供の頃から走れる道の溝知りし