2010年4月1日

壬生浪士隊

僕は軍人を見た。そして軍人はやはり軍人だった。その人は死ぬ為に生きていた。僕は軍人の頭がわるいのを見抜いた。だれもそれを知らないが、軍人は自分自身が無用の長物だと悟って、戦争になったら名誉とひきかえに死ぬつもりだ。だから普段から、軍人は誰からも好かれない。軍人を好む女は変人だし、もし好むとしても末路は百パーセント悲惨だ。なぜなら必ず死ぬのだ。僕はある時、東京でその軍人を見たのだ。
 それとは関係ないが、二子玉川駅に入って行く多分田園都市線だろうか? その電車から見た多摩方面の光は、また何度か散歩したこともある、その公園の一帯はのりあわせた野球少年らのせいかもしれないが軍人のありかたにそっくりだった。僕は新撰組がこの向こうから出てきて遠い京都へ進軍したのだ、とおもった。その浪士隊は、なんの留保もなくただ忠義な侍を演じるべく、向こう側へ歩んで行った。僕は代々木公園の隅にある小さな墓を見た。それは敗戦の時に進んで殉死した侍の墓だった。同じ頃、2008年ころだろうか? 僕は東京にいた。