2010年3月30日

梅の花

桜ちる山のうえには鶯よ
山里の奥で過ごせる婆さまぞ
光る涛しとしとふりける春雨と
明るき色の服着る子どもはしゃぐ外
海のねはしずかに流れく咲く空草
くずれゆく巌の端とかもめ待つ
松島よわれのみぞ否む沙汰にはありぬ
水仙の球根さびけし教室に
砂の声ききつ歩くは寒き春
ひとひらの夢と醒めせば躑躅の蕾と
雲生まるさりぬ夜には隠れる半月
梅の花みずうみの霞仕舞いけり
川端で野球をするか蕗の薹
いつかみし年ごとの椿みす廸よ
偉き菜花と隙間なく流れゆく多摩川
空高く描く光は鉄錆ぶる
はたはたと走るちごの横通れる
月游ぶ侭にのこれよ武蔵野よ
犬を飼うひとの見る岸ハルジオン
既になき庭は慈しねこじゃらし
生ぬるき風の曇り空すぐる