してる自分とよく似た若者を
東京の水道橋の道端で見る。
彼は、世の中で生きていく
そのちょっとした大人のふりを
何気なくこなす。だが
世の中は東京だけではないのだ
その集団内には関西の人がいて
当然いつもの喋り方で彼ら特有の
話題の振り方をする。
漫才を信号待ちに聞かされる人達。
彼は、自らの首尾一貫さを保ちつつ
どうにかよごれた地べたにはいつくばる
言うまでもなくその姿勢じゃ生き残れない
僕は世の中のしくみを見た。ここでは
すべての悪徳は正当化され、
すべての理想は蹂み躙られ、了いには
ボロボロになった壮年後半のあの
給料夫のなきがらだけが残されていく
あまりにも合理的な奴隷制度。
自らの見た侭を見られる者は殆どいない
それ故に、彼らは東京の大人に憧れてきた。
決してかしこいのではなく、ただ狡いだけの
上司へ服従する中でいのちを養う、
そのちいさなスーツ蛍の群れはこうして
今夜も輝くばかりの夜景になって燃えていった