花の名は語られることもなく
すでに大土のもとに還った
まるで当たり前の合図だったそれは
君のもっているすべての合言葉を常陸の空に
隠してしまった
ポクポクと木魚が鳴って
お坊さんがなにやらわからぬ
ありがたきお経を唱えました
だから私はまめやかな舟にのって
お空の向こうにある月のうらの古里へ
帰ります
止めなさんな
だれが言ったかしらないが
その羽は天使がおとして行ったのですよ
私らはみたこともありませんが確かに
世の中には不思議なことがあるもんです
人は国中を歩き回りやがて
どこかで同じ土に還る
そもそも
冒険家とはそういうものだ