2009年11月4日

清流

おとなくきえゆたつなみの満ち干
自動車列車と汽車電車金属音変る
只降り注ぐ水色の空白云のさやか響く町うごく
打ち寄せる波きみはしずかに祈る聞き届けられるのを
なにを信じた百円玉がおちるアスファルトの隈
徐々に盛り返す試合情勢サッカー場の上みる
山奥だった兜虫のくぬぎの木ゆばテーブルのうえ煮える
略して綴れる想い毎あなたは夜波止場に留るのか
聞える生れ育った古里の匂いと空気が私の声になる
ただミンミン蝉が鳴き捨てる真夏日ひぐらしかなし
ゆったりとしさかみちをくだるシティサイクルのハンドルをはなす
むかしだったそこも地獄橋のうえをわたった後ろかご
おちつきなく湯気ふりしきる山形の銭湯おもしろさ
ゆきのちらつくころ蔵王は眩しさをもってくるゲレンデ白さ
おばあちゃんちの畳の匂いベッドの固さ踏み石の巾
竹林のおくになげすてられた菓子パンの袋竹の子たのし
芹を摘みにいきましたさとやまのおくの田んぼの静けさ
おともなくふりしきる雪のねもきこえるしずかな田んぼに
あおい軽トラックと耕運機がひびくおたまじゃくしのたまご
沢山川の底しれぬ流れの緩さよ笹の枝垂る渓流
とびこむ歓声ひたるつめたな清き流れとこしえに
夜空へつながる海へのめぐりゆきは星月のまほろば
笹舟はてのひらをぬけて宇宙のなかを駆けめぐる