2009年10月14日

服従

語られた物語のなかで、その王様はありとあらゆる悪徳をつみかさねた。人間は王様が偉いものだ、なにか彼らには悟りえない立派な理由をしっているものだとおもいこんでいた。現実には正反対だったし、王様は人間をただの奴隷だと考えていた。しかし、だれひとり知るよしはない。王様は生まれつき他人より恵まれているので、どんな努力もいらないしどんな競争もない。その先祖が地方の豪族を平定し、自身を唯一の権力としたことがうまくいった。

 あるとき海外から突然敵がやってきた。そしてその威張っていた王様を取り殺し、万人に平等なるものを教えてくれた。王様は二度とこの世に復活しないだろう。その筈だった。

 ところが王は島のすみに隠れていて、外人が出て行くのをいまかいまかと待ち構えていた。殺された親玉はダミーで、ほんとうの権力はかくれた岩蔭に秘められていたのだ。そして外人が言葉もわからず、島民の穏やかさに騙されて平和を確認して出港してすぐに、やっとすべてが穏やかになった島には今度こそ絶対支配者になろうとする以前とおなじ王座が設けられた。

 この世ではなに一つ変わらない。あなたは秋の訪れとおなじ様に、王がのさばる光景をくりかえし見た。だがすべての暴力を支配したその王は、かならず地獄におち、またわるだくみを組んだ暴力団に再建される。

 島のなかではその工程がくりかえされ、ほかになにも起きない。それを平和とよびたいならそうするがいい。人々は弱者を虐げる強者を見るだろう。そしてその強者がさらなる強者に虐げられ、一度きずいた秩序を崩壊させるつくりなおしの経過だけ目の前にある。無知なる野蛮人どもよ。貴様らにも世界の広さが知れたなら! 尤もそんな注意書きもムダになる。貴様らにはどんな世界でも服従の習慣があるだけなのだから。