2009年9月25日

生物学

生態にとってある程度の可塑性が必須なのは偶然の変異に適応しない為である。ゆえ可塑性、或いは生態の柔らかさが増大する程その生態は必然への適応を遂げる。偶然的に変形された習性はつづく別の偶然で補われる。この維持した変更は学習行動と名付けられている。
 生態構造が決定的に可塑化するにはこの学習されて変更の加えうる領域を徐々に拡充できねばならない。又は、その可能領域をできるだけ生態環境でありうる偶然の変異へ適合させなくばならない。必然性と偶然性が入り混じる条件を、偶有的とも呼ぶ。この偶有性は学習行動では捉えきれないので、半分は知能行動と呼ばれる予測知を生態適応へ繰り入れさせる。
 もし必然性が知能行動で集束できる法則知のことなら、この予測知はそれなりの偶然による確率や運の可塑性をそこへ導き入れるものといえる。実際、偶有適応というものは予測知による、学習でも知能でもない第三の行動を喚起している。それはいわゆる可能性の変異を実現させる方向づけである。これは直感行動と述べることもできる。
 我々は、もしくは主に自律神経系をもつ生物は偶有の事象への適性としてこの種の行動型をも普通とするものであって、決して単なる偶然へでもまた明らかな必然でもない様な環境変異へ向けてはこの確率的可能性へ適合しようとする行動様式が最適なのである。例えばある程度の試行錯誤をふくみつつ犬や猫が生まれ育った町へと帰り着く様な行動型は、決して必然性の法則の中には計測しきれるわけではないにも関わらず、ほぼ確かな率で正解を導き出すことができる。嗅覚その他の本能行動を幾らかの学習された風景や事物を手掛かりに、また少なくとも目的としての生還を事前に洞察して全体として一定の可能性たる予測知を発揮するとき、かれは直感に遵って帰り道を偶有的に発見したと述べられる。