2009年9月2日

奇跡

この世で唯一人の美しいひとよ
もし私に両手一杯の花束があったならあなたにあげよう
すでに終わってしまった花火ならもう一度みせよう
だがあなたは知らない
もしあなたがこの世から消えてしまえばもう二度と
素晴らしいそのかなしい花が咲くことはないのだ
だから比べるものなく美しいあなたは
宇宙全体に広がった光の粒をあつめて
幸運の女神がもう一度みずからの祈りを
聞き届けてくれるのを待ちつづけるがいい
アフリカの隅々まで探検してサバンナの猛獣と争い
インディアンの勇気に抗いながらウェスタンと決闘する
そうやって手に入れた誰も見たことのない宝石でも
あなたが夜の星屑一つと比べるなら打ち捨ててしまえ
無限大の夜空があなたより愛しいものを遺さないのなら
すべてを爆破してでもそれを手に入れなければならない
だけどこの大海原が流れ続ける天の川が
あなたとの距離を引き裂くのなら
どれほど遠くなるか分からない頂上の見えない山道を
僕は一人の修業者になってどこまでも登りつめてやる
もしそうしたあかつきになにもかも見えなくなって
奈落の底へ沈んでいった数多くの競争者が消えてしまってから
もう何一つ持たないとしても僕はこの想いを届けるでしょう
世界で唯一人だけの美しいひとあなたは
奇跡だ