冒頭の文言
大体がお馴染みの
ありきたりで使い古された
中身もなくなった
一つの親切が
ゆっくりと空をきり
間近になった運命を
浅瀬と共に洗い流すのを見る
止まない侭のすぐれた雨が
泡沫の今を海へと道曳く
考え深げに足を投げ出した後で
例外なく夥しい緩やかな速度を測る
校庭の砂場へ雨が浸す侭になっている
宿命の音符が操作できないほど
町中を湿らせて
特徴のない暗さを預けて行くのを眺める
既に時は近づいた
全てが終るのをじっとここで待つ積もりだ
もう明らかに世界が手遅れなのだから
一度動き出した星が
最期まで消え去りはしない様に
ただここからバラバラに崩れ去るあの城を
見守ることだ
人々が崖の淵に立って
夜の底知れぬ海へ流されて行くのを
どこまでも深い藍色の川面へ
願い続けるがいい