われ独り喧しき世に灯を点しいにしえのひとの心へ習いぬ
まつりごと好むものども尽きもせず人気の蚊とりにたかりておちゆく
京なら宵口のまちに移り行く車の赤もとこなき夕暮れ
あきんどの欲しきお手柄ただそれもつかの間のはれと変わらず梅雨空
学んだと記す肩書きかさに着て女だてらにけちらす酔いどれ
かわらずにのこる命ならなにをせずとも尊きこどもよ
誰からもかえりみられず石を打つ家無しの手にも仕事ぞありぬ
かみながら一つのこころをうつしだす世にも見えるは変わらぬ月影
海原のうちよせるところしずやかに想う心のままにぞなりぬ
星屑のかけらにすぎぬ身の上はただしじまの波際へおりし貝殻のおと