2009年6月28日

貝殻のおと

われ独り喧しき世に灯を点しいにしえのひとの心へ習いぬ
まつりごと好むものども尽きもせず人気の蚊とりにたかりておちゆく
京なら宵口のまちに移り行く車の赤もとこなき夕暮れ
あきんどの欲しきお手柄ただそれもつかの間のはれと変わらず梅雨空
学んだと記す肩書きかさに着て女だてらにけちらす酔いどれ
かわらずにのこる命ならなにをせずとも尊きこどもよ
誰からもかえりみられず石を打つ家無しの手にも仕事ぞありぬ
かみながら一つのこころをうつしだす世にも見えるは変わらぬ月影
海原のうちよせるところしずやかに想う心のままにぞなりぬ
星屑のかけらにすぎぬ身の上はただしじまの波際へおりし貝殻のおと