2009年6月26日

海歌

明け方の町をのべていくうつくしい雲がお日様を照らし出してくれる
この世へ暮らすものへあまねく染み渡るあおぞらの色よ
どこからか迷い込んだ蚊のむくろを土へかえしていく手が
なにものも知らずに流れ去るのが祈りだとは知らずに
ただ一人であれ世の中のまことの姿を見よ
どこにでもあるそのいつくしみを
われらをのべたまいしもののまことのかしこさを見よ
なにひとつとして欠けたところのないあるがままの御代を
お前を生み出したものの底知れぬ深さを
そしてもし失われることがあろうと
その夢はさめて
ただ晴れわたるそらのあおさが涙の跡を
とこしえの海へ融かしこんでくれるだろう
なにもかもがおもいどおりになる
そう君が知れば
いつかの日暮れのなかで沈んで行った
誰にもわかりえない疑いごとでさえも
わかりきった答えのくりかえしのなかに
みつけられることになるだろう
だからおもいわずらうな
目の前の問いを捨て去って
ときのながれに身をまかせるほど
遠回りをさせる行いはないのだから
よのなかのせめぎあいのなかでつらいおもいをするほどに
ただ明け方の空のあかるさをからだにおさめることができる
人という生き物がみな去っていったあとでもやはりここには
底しれぬ海のしじまが誰か
そのかなしみを引き連れて旅をつづけるのにみちたりた汐の騒がしさが
まちがいなくわれわれをみちびいてくれる
尽きせぬ川のながれがある
それをたどっていけばかならず海へ出るのだから