2009年6月22日

技術革新と既得権益

われ最近に‘インターネットは馬鹿と暇人のもの’なる表題の俗書販売されるところみかけし。

 思うに、木簡業者が最初に紙媒体へ行った反抗は同然に不当で、愚かしいものだったろう。そして後進生の敗戦色が利器伝承必然の趨勢によって濃厚になったとき、まるであの職業軍人のように寝返った側へ誰より情けなく媚びへつらうであろう。負け戦へ士気を鼓舞した者は無謀と呼ばれるのだから。
 また、未来についても同様の変化があると演繹でき、我々はこれを‘負け犬の遠吠え’とか‘風が吹けば桶屋が儲かる’といった諺ごと整理して「持たざる者は既得権益」とまとめ述べることができる。この社会内技革進化の原則はいついかなる時代でもそちこちで常に生じているだろう。
 ウェブ上に万能の百科全書や検索閲覧自由な往古図書目録を備えた賢明な民族、ほとんどの流通業をネット経由に一元化して無駄な仲介料をどんどん省いていた賢い小売業界の中心地が地球内に存在しているまるきり同時代に、冒頭に書いたような愚鈍の窮みといえる無知者階層が遼か後方に取り残され、しかもその一時の既得権益を守り切れると信じて進取の世界観を飽くまでも誹謗していた。この歴史的事実には、人類という知的に十全とはいいがたい社会的習性を有する生命体の負の現実として、後学へ益するため記録しておく価値があると信ずる。