2009年4月18日

狭い国

携帯の待ち受けで待つ妻子を糧に働く工務店員
一万円を持ち去る
何一つ残らず消える記憶の上で
我が物に振る舞う塩基配列
どこかで見たありきたりの空であって
なにも望まない僕は眠る
もし理由があるとしたら
それは最も取るに足りない夜の星々と同じ
過ぎ去るのみの朝焼けだろう
激しく移動し続ける車の列
きみたちでさえ見つからない夜へ沈む
どうでもいいくらいあふれた宣伝で
なにを儲けたいんだ
国だとか血筋だとか肩書きだとか
教養だとか教育だとか
なにを儲けたいんだ
サラリーマン同じ姿で歩道橋を群れ渡る
イギリス風のネクタイした幼稚園児が
妻子をもうけて幸せな墓入り
老人ホームで薄情の安売り
電化製品を更新してたまに交尾するだけの猿
探しても見つからない夢模様
狭い国だ