2009年4月21日

常陸国と武蔵国

鮎川の夏の始めに遊びしほとりで
並んでコンビニのざる蕎麦を食べる嬉しさよ
誰もいない海岸線を撫でる風が
停めた自転車をかすかに湿らせて行く
テレビの中で騒ぎ回る大都会の光景
段々と似てくる下らない月9のドラマみたく
我々の町を変えていく力
海の向こうから聞こえない音楽を
ただ一色で塗りかえてしまう
畦道はアスファルトで舗装される
姦淫の雑誌が回し読みされる
偶像がホルモン剤を打って女装する
当たり前の姿を訳もなく卑下させる
僕は名前もなく声も押さえ込まれた
一羽の孤独なからすになり
右翼の宣伝カーが耳を割るがなり声で
渋谷交差点を鈍行で渡るのを見る
清川はお笑い芸人に潰されて
代わりに京都土産の芸者屋が建つ
極東に渡来した黄色人種が
金儲けするためにあの川のほとりを潰した
恥という観念のない汚れた心の笑みで
タレント知事が僕の目の前を通りすがる
後から何人も何人も
東京湾から這い出してきたへどろが笑う
なんの罪もなかったんだろうに
皇居を護る名目で
情報汚染をファンタジー化するのだ
僕は名もない土砂降りに濡れたからすとして
今ではどぶ水を流しゆく川を眺める
だれからも省みられることのない
高架下の江戸川だろうに
悲しみの声さえ
君は絞り出せない