2008年10月4日

純粋理論の独立

実学伝承と純粋学問とは相異なる理念である。技術を純粋理論型教養一般から分けて、実学へ徹した専門能力啓発の機能拡大に傾注することが高度産業社会の情報化にも寄与するところ多大なのは、我々の技術更新が急速に転換し続ける流動型時代にあればなおさらに、文化慣習を社会の現況と大きくずらさないままで時期に即した人材を開発するのにも必然の方角だろう。そして各種教育機関間での適材の実現を最大限妨げざるべく、中等教育程度の共通学力試験を通過すれば如何なる高等教育間での出入志願も単位互換性として解放されるのが本来である。理論のための学院、学部に対する技術のための専門学校が企業との共同型人材育成には最も適正となる。そこでは積極的に職場訓練・On the Job Trainingも取り込むべき。無用の用たる教養の涵養は屡々、或いは殆ど必ず商人の現実勘定とは違う原理に基づく限り、損得利害や実現可能性に縛られない自律した構想力の飛翔と啓発には、純粋理論の大学が飽くまで全体社会から独立した組織を維持出来ねばならない。我々の学問は如何なる現世の権威にも身を売らない者の高貴なる目的でなければならない。審理は政治経済に依存しては決してならない。我々の全時代を超えて、世界と文明の真実を一途追求するのは単なる目先の利潤を端睨にも構わず寧ろ、人類全員なべての知の終極形なのだから。