必ずしも人間では仕合わせになれるとは限らない
必ずしも。限らない
その為に失ってしまった数多くの時間は、私の過去を省みて何を思うだろう
何も叶わない
何も。
雨。雨。
いつからか、いつまでも降りつづける雨よ
君はもう時の住処に淀んではいないのだ。自然が、捺し流してしまった。
僕は未だに名前を呼び続けている。未だに、未だに。
二度と帰れない仕合わせな時間の前で。春は草花を咲かせてくれるが、この想いに酬いるすべを持たないから
目には、君が見ていたはずの草むらが広がっている。春なのに、雨の降る野原だ
夜は深くなり、深くなりつづけて、やがては僕らを夢の中で再会させてくれるだろう
潮のかおりがする。けど、君はそれさえ知らない深い眠りについているのだ
さみだれが連れて行ってくれる記憶の為に、静かに眠りにつくべきだろう
かなしみは笹舟に乗って、川をくだって行く
この世では仕合わせになれるとは限らない。五月雨が奏でる音楽は、だれもの耳元で鳴り続けているのだろう
海へ辿り着く為に