2008年3月2日

睡眠

人間ほど醜い生き物はない
だが君は又人間なのだ
凡そこの世では何もかも夢に等しい
人は記憶の中に生きる
そしてやがて失われ往く
あらゆる時代が患う病を君は又おぼえる
況してや何を指して回復と呼ぶのかさえも
ひたひたと沁みる雨傘
昔話の中玄関に待っていた
一輪の野菊
もう直ぐ雨は止む
暫くは待ちぼうけ
旅行く人の声がする
移動して
インドの道端に鈍い陽射し
瓢箪や
鋭く尖った
エスカレーターの流れに併せて
向日葵の商売
次々と名づけられる模様
甘やかすくじらが潮噴き虹が出た
南海探険今日も順調
都会の昼間爽快な青空屋上庭園けれど排気ガスも酷い
房総半島に半導体が落ちた
ボートを漕ぐ小熊の大将それ行け
薬草にホイミをかけて願うことは
彼方の目に映るのは
現象の底で待ち合わせかもねとぞ侍める
光の約束を見た
すると一日が始まった
指輪はもうなかった
夢枕に落としてしまったから
ただの戯れでしかなかったが記憶に残る物語は精彩を欠くのに
新しく人生は何もかも前世の因果のままに始まる
何しろあなたは新生児なのだから
目覚めよ
そして地球の一員となれ