2008年2月16日

多声秩序論

文明はuniversalityすなわち多様の統一を目指す。それは均質化でも全面都市化でもない。単に、文化に多彩をもたらす自然な作為でしかない。地方は地方ゆえに、純朴やほのぼのさといった全く都心では育みえない価値を提供する。

 地球人類史的視野に立てば、日本は全体としては文明化された国である。しかし、日本の内部にもuniversalityは摘要されねばならない。
 というのは、多様の統一としての文明秩序とは、単に環境適応力という生物の命令へ、社会進化的に従っているだけの事なのだ。文明間の発展時差はそれ自体が、多様性の増大という自然のentropyに忠実な作用である。

 よって、日本文明はあらゆる地方を都市文化的に均質化することを好まない。この点で東京は日本文化のmodelには成りえない。それは日本文明そのものが必ずしも地球各国の文明模範になりえないのと同じだ。地方文化からの反東京主義の声は文化的必然である。我々は地方文化の立場から、批判的に東京文化の退廃を暴くべきだろう。