日本政府の対イラク支援活動の目的は『イスラム文明の復興』であり、なんら自由主義圏の拡大ではないと悟らねばならぬ。
日本人がアメリカ人ではないように、文化はさまざまでなければその価値を失う。
同じように、文明化のためには国家それぞれの筋書きが必要なのであり、それは必ずしも内政干渉によって発展するものではない。
現に、白人から植民された世界各地の文化では、いずれは民族主義というvoluntaryな方法でみずからの内から独り立ちしなければならなかったのではないか。
アメリカ政府があきらかな他国土への軍事介入によってテロとの報復合戦をやろうと言うのは、まことに馬鹿げた議論である。それはかつて侵略戦争を犯した日本人の轍をいまだに踏むことでしかない。
そしてこういう軽薄な愚論に付和雷同した小泉氏の悪徳は、自らの偏った道義の責任を《terrorismの不安》という民族全員のかけがえない損害で償うしかないのであった。
我々はキリスト教徒の一命がイスラム教徒の一命より尊いとはみなしえまい。一体だれとであれ、下らぬいくさは卑しい。