2007年11月24日

料理論

美食には節度がなければならない。その目的は健康の増進であり、決して嗜好そのものではない。偏食家が如何に主張しようと美食家とは呼べないのだから。

 優れた舌は食材が広く、豊かな食糧事情の安定環境下でのみ発達する。そのような環境からは多くの世界料理が誕生する。

 如何なる料理も文化活動の仕方を含んでのみ発展する。
 出来合いの輸入ではなく、美味しい料理の方法を素材ごと学ぶ努力を通じて、料理家は新たな美食を創作する契機をつける。そして真に芸術的な創作料理には実りも大きい。如何なる芸術も合理性によって審美される。従って優れた料理は人類の健康増進に寄与するところ多大である。

 美味、即ち舌の趣味は健康的な民族ほど優れた感覚である。不味い物を避けること脱兎の如く、栄養ある料理に長けることお袋の如くあってこそ美食家の名を冠するに足る。

 究極の美食は淡白に趣く。健康増進の為に必要充分な味付けは自然食材を慈悲感謝を以て尊重するような、さりげのないもの。真の美食民族は長寿である。