チーズケーキを食べた
小さな穴が空いていて
そこには住んでいる家族がいた
家族の会話
「なんていう事だ」
「不可思議きわまりない事だ」
「世の中はよほど狂ってしまった」
「これもみんな異常気象のせいだ異常気象庁のせいだ」
フォークを刺して
二つに割ると
文明のしるしが出た
腐った食べ物なのに
ワインに合うらしい
納豆が御飯に合うくらい合う不思議な食べ物だ
チーズというのは
マルチーズというのは
ひとたび時代が代わると
いきなり常識が変換するらしい
まじめに働く一群が
ぺこぺこお辞儀する姿を映画で観て笑うヤンキー
恋人の対話
「あーっはは」
「なんてミラクルなんてあめーらぶる」
「らぶらぶ」
「メルトダウンだ」
なんていう事はないゆうべ
時の調べ少しずつ
街に暮れる行灯
南から吹く渚の夕凪が
犬の尻尾を揺らしてふさふさ
ニュータウンの夕辺
過ぎてしまうとわからないで築く
わずかな幸せの姿が悲しい
束の間の楽しさが窓辺から漏れ出している
笑い声
ねこがにゃんと鳴いた
ひっそりとした世界観のどこかで
命の手綱が渡されて行くのか
大都会
真夏の様に揺らぐ景色
競走する人間の動き
水が撥ねる