2007年5月4日

普通主義

現実の範囲に期待するな。いずれそこで手に入るどんな価値も相対比でしかないのだ。「AよりBが高い」という連鎖作用には唯の理想があるだけだ。そしてその理想の想起を習慣づける頻度に応じて君は満ち足りうる訳だった。
 現実では程々が最もよい。平均値の異系結合には美のあらゆる条件が揃っている。なぜならそれは同種最純の適応格性を示しているからだ。買い物をするなら、努めて良い物を求めてはならない。敢えて択ぶに足る程良い物に最も価値がある、と認知せよ。
 普通主義は一体、人間の倫理処世にとって最高の目的である。カント的形式主義は形而上学の範囲においてしか的確ではない。それは実践に適さない。従って、かれは不幸だったのである。理念とは机上の空論でしかよりよく語られ得ない。現実においてはいい加減にしか理念を実行できないし、又、そうでなければならぬ。