2007年2月26日

自伝

「人間」なるものは決して物理学的に尊ばれるべき存在でもない。この証明の為には彼らが時空間の一形態でしかないと知ればいい。理性によってしか「道徳」は生み出されない。彼らは実存の合理化の為には如何なる手段とても辞さない。遂には精神を独立とまで妄念する。だが、結局、彼らの生存は偶然の所存なのである。太陽系は奇跡的な混沌で、不変でも必要でもない。若かりし私の思想は人間に対する呆然を導き出した。その結果、現実社会は理想より空虚だった。進化した類人猿の理由は秩序の追求だった。具現的か理念的かを問わず、だ。人間の野蛮さと共に、混沌たる環境こそは敵だった。
 しかし、不思議と今やそれを改善する事に期待しなかった。我々がどれ程に尽力しても自然は人間の補集合であり、従って改善は常に漸進に留まる。私は己の理想の秩序にしか生活の定義を見い出し得なかった。私を学術の求道へ向けた最も深淵な動機こそはこのような厭世だった。