2006年12月2日

文脈

世界言語が伝播する迄に文学が為し得るのは只に、各言語観念の微妙を保存養生しておく事に過ぎぬだろう。事実文学が民情の操作を旨とする社会活動である限り、それらは同胞意識を啓発する方途に臥される。
 普遍概念は各言語による表現では不完全な侭である。そこには国際差延の生じる余地がある。翻訳が必要なのは伝達の為。が文学は共感を目的として世界人類に和合を促す。文化的微妙はこの効率の道具。
 世界市民の互譲は相手方の文化尊重に於ける。だから織物は文脈づけられねばならない。作物を歴史化していく経過にしか文明はあり得ず。