2006年9月26日

建築論

建築が芸術と呼ばれうる為に要請されるものは何か。それは全体構成がひとつの美学的理念の暗喩として貫かれ、対伝統批判性を保っている場合に限る。建築芸術の高邁さはすなわち、多主体の協働作業力が一個の理想的目標へ向けられた時に発生する。
 建築家の美学理念、建設原理はこの為に必須なので、すべて彼の天分が由する職能は、建設原理に対する習熟知の度合いに依る。そしてこの原理こそは、時代の工学が有する空間構想の極致に因む。
 もし建築家に偉大の名、巨匠の名誉が冠されるとすればその作風に対伝統批判の模範が示されている高らかな証の連綿さによるだろう。