2005年10月2日

ベンチ

時が残酷さの代弁者となる。届くはずのない想いを重ね、連ねては幾つかの後悔を飲み込む。
 世界が変わった気がした。退屈で仕方なかったはずの毎日が、キャンディをばらまいた部屋みたいにすごく愉快だった。どうしてなのだろう。不思議だけど、答えはいらない。後は何もない。なにもいらない。
 都会の片隅に置かれたベンチに座った。互いの関係はやさしさの為だけに用意されたオードブルになる。そして地球は回った。
 もし運命と呼ばれるべき何かがこの世に存在するとしたら、それは、このベンチだろう。避けられないし避けたくもない。ただ単にある。そして人を、あらゆる時空を飲み込む。吐き出すことなく消化する。