2024年2月24日

イギリス本をいただいたお礼の手紙の写し

拝啓 いつかきたみち
 ざっと読んだのですが、やっぱりイギリスはイギリスだなと感じました。あの哲学部にいたボビーさんに最後ひどいこと言われたので「終わり悪ければ全て悪し」的な悪印象が残ってたが、かなり修正されたのでよかったです。有難うございます。

 特に「イギリスにはダビンチもミケランジェロもいないが、シェークスピアがいる」という文言はその通りだなと感じました。視覚美術面では幾らか見劣りするかもだろうものの(何しろ天気が暗い風土らしく視覚発達に不都合なのかも)、文芸、特に詩の領域では著しい成果があるというのが公平な理解かと。

 あと、やはりゆっくりと田舎の生活を楽しむといった性質も、我々の茨城の方に伝統的にとてもよく似ている。
 例えば義公が西山荘を作ってご隠居生活しながら歴史研究したりだとか、野口雨情も元々イギリスのワーズワースの田園詩をまさに参考にしながら、いなか風の童謡や民謡をあの明治近代化の時代に作ってたのですね。岡倉天心がきたのも、都会の喧騒を離れて絵を弟子にかかせたり思索したかったからですし。

 最近、𝕏で関西の人々に絡まれ、一応公式に世界一の大都会であるところの東京大都市圏(横浜含む)に憧れてはるのか、田舎者蔑視みたいないつもの差別用語を連発されたので、あのイギリスとは実に著しい対照だと改めて感じた。
 僕はどちらかというと、やはり人生観はイギリス側に学びたいと思います。
 イギリスは西洋大陸の、例えばパリ人らが帯びる都会風の文化を拒絶する面がずーっと前からあるし(ボビーさんもまさにそうおっしゃってた)、ユーロトンネルの開通をイギリス側が決して喜ばなかったと本にあるけど、落ち着いている田舎紳士の風を良しとする堅牢な風土をかえりみると当然の気もする。
 なので海賊行為や文化帝国主義の暗面を除き、内国の明面だけみるかぎり、世界文化史の中で独特の位置づけを持っている、啓発的で、重要な国だろうとの確認を新たにしました。思うに、美質といえる徳を学べる場合に限っては、つきあっても有益なのかもしれませんね。皇室の方々もそうならいいのですが。

 あとでラジオでもお礼言いますが、重ね重ね有難うございました。あなたの方にも何か贈り物できたらいいのですが。
敬具 Y.S.

追伸:必要かわかりませんが、実物の油彩画などで、どれかお気に入りのものがあったら仰ってください。おそらく要らないかとは思いますがそれを贈るならいくらでもあるので。大昔のデッサンは記念なので送れるか不明ですが、ミューデさんに言われ量産してた時代のなど、自分が手放してもいい物なら。