婚前交渉主義者はその不貞の汚さに応じて、優れた伴侶が得られない。人は一般に汚さを嫌うばかりか、肉体関係を含む移り気のし易さは、ある伴侶がすでに交わった他者に繁殖資源を盗まれ得るその者の毒性を明らかに示す悪徳だからだ。たとえ以前の破綻した純愛でも、肉欲を含む交わりはその者の不貞を結果しているので、現実的には別の配偶者や性的関係を求める過程で同様の趣旨で免責されない。また、婚前交渉後に同一人物と婚姻なり他の形なりで伴侶化しても、新婚初夜の尊みや配偶者間の特別な偏愛には一時の情欲に負けた罪から歪みが出る。この歪みは貞徳にひびを入れているため、伴侶同士の人格の尊厳を損ない、守り得る社会規範を破って不貞の罪を多少なりとも犯した点で子孫教育上に悪影響を与えるばかりか、不可逆な後悔を呼ぶ。
婚前交渉否定主義者は以上の悪徳から身を遠ざけ、安息する。婚前交渉否定主義者には少なくとも婚前の不貞の罪を犯す危険がなく、性倫理的に気をつければ良いのは婚後の不貞だけであり、また未婚でありさえすればその危険も全くないからだ。