2023年7月20日

宮崎駿思想批判

心を傷つけることばかりなこの世界は確かに、生きていく価値がない。
 この世は生きて行くに値すると吹聴したがる宮崎駿はちょっとの慰めの偽善を除けば、ほぼ完全な嘘つきで、子どもがもし一様に生きて行くに値するとしてそれは元々、彼を世俗的に成功させた嘘の世界の中でだけだ。

 もし漫画やアニメーションではなく彼が、悲惨な戦争体験で現実を知っていたら、永遠にその罪深い嘘を後悔したろう。彼は平和な時代に甘えて生きながらえた高度成長期の落とし子で、平成・令和期を含むもっと惨めな時代の、根っから悪どくすれて救えない人々の間では、どうしようもなく心底汚い者どもで埋まる現実を見つめる我々は、彼特有の口先だけで上滑りした偽善すらも、少なからず耐えがたく感じる。

 もし理性的存在が生きていくに値するならそれは、自分が尊い理想の担い手な時だけなのだ。
 自分が失われれば永久の闇に堕ちて行く世界を自分の高潔な魂の光が唯一、照らすつもりなら、人という地上を埋め尽くす本物の魔物たちと戦わず死んでいくのは、勇者の罪に過ぎないからだ。