過去の型にとらわれず生きることと、史実から人の世の真実をまなび将来の糧にすることは全くちがう。
温故知新せず生きる人は過ち易く、過去の全人類が命という形で残した膨大な古書庫には、いくつも自分までもやりそうな似た失敗例があるのに気づかないでいるだろう。
また、作り話と史実も全くといっていいほどちがう。
事実は小説より奇なりという。誰かが妄想で残した作り話にはさもありそうなできごとが書かれているかもしれないが、それらはより真実味が薄く、唯の史実の方が遥かに、人の本性を示す奥ゆかしい教訓で満ちていることを見逃させてしまうのだ。