2021年11月11日

正しさの保証

多数派が正しい、というのは完全に幻想だ。常々多数派は間違える。そしてその間違い方も、独特の愚かさによって間違える。ある事柄についてその集団の意見の分布が最も凡庸な地点で間違える。多数決の原理は、このため、正しさの保証では全くない。

 最善の意見は、その集団の中で最も賢い者、最も善い者がもっているもので、それはまぎれなく少数派の意見だろう。正否に濃度の有る或る事柄について、最賢者も最善者も究極では相対値として一人に定まるだろうから、最善の意見は常々、最も少数派の意見ということになるだろう。すなわち、優れた少数意見の尊重だけが、真に正しさを保証しうる唯一の原理といえる。