2021年5月23日

もぎけん周囲から推測できる東京文化人界なるものの分析として分かった事

自分は茂木健一郎というブロックしない人のツイッターに返信する形で、周辺の反響を見て、業界の様子をうかがうということをここ数年やっていた。

 結果色々なデータがとれたのだが、その最終結論として、東京の文化人界みたいなものは完全にテレビ芸能界のもどきであり、虚栄の世界で、一切ちかづくべきではない。
 都内出版業界はテレビ芸能界の派生物にすぎないのだった。つまり売名で金儲けをしているだけだ。この悪質で卑俗な業界が偉そうな顔をしているのはすべて虚勢であり、中身は空っぽの張りぼてである。近々テレビの代わりにチューブがおもな触媒になって、以前よりさらにひどく低俗な業界にやむをえず変容しつつ、潰れていくのだろう。本という媒体は未来がないからだ。

 なぜ都内出版業界では肩書稼業がおこなわれているかなら、それは日本語圏の読書人の質が低いせいである。かれらは肩書次第で意見の正否を判断する癖がある。属性による偏見なので、かれらは詐欺されているのだが、気づかない。だがこのこと自体を、この都内出版屋は内部構造にしているので、自己変革など到底不可能なのである。
 私は大江健三郎の全小説を読んで本当に心からびっくりした。なぜこんなものがノーベル文学賞だとか言って世間に大手を振って歩いていたのか。どうみても遠藤周作『沈黙』一作の足元にも及ばない作品ばかりではないか。だが、それは全て業界ゲームだったのだと、今や明らかになった。
 スウェーデンの選考委員会への推薦状を、文壇政治で書かせ、自分(又はかれら受賞者)が偉いことにしたてあげた。単に肩書の偉そうさだけで判断して読書を全然していないだけでなく、ひとを見る目が全くない東京民――バカ殿だらけの江戸時代から関西邪教祖と薩長蛮族主導の大敗戦を挟み、今の都知事まで――の方も、かれらが東大卒というだけで、天まで届く高下駄を履かせていた。単なる悪文というだけではない。中身がさっぱりないに等しい小説だらけなのである。似た様なことは全体で『伊豆の踊子』一作しかみるべきものがないに等しいだろう川端康成についてもあてはまる。

 勿論、小説屋など歴史的にそんなものだ。小説が立派な芸術だった試しなどまず一度もない。今後ともそうだろう。嘘つきどもの戯言に特段の意義などない。ただの通俗的で下卑たお遊びである。
 だがその小説なるものを高尚な分野だと思い込んでいて、それより遥かにたちの悪い、というより幼稚で下品極まりない漫画やアニメを、高がオリエンタリズムにかぶれた外人の一部と子供の一部にうけているからという理由で、あるいはただのかねもうけで、天下の大芸術だと主張しているのが、ザ東京人たちなのである。そんなのが高い文化など大上段に語りえる集団だろうか。そんな最低衆愚の場では、どんな立派な芸術も、高貴な人柄すらもダメにされる。ぬれぎぬされ、貶められ、無視される。最悪のとき迫害や自殺においつめられるに決まっている。かれら都民一般の中では村上隆や会田誠が、当地で一流とされている東京藝大卒の大芸術家先生なのである。事実そうなっているのだ。

 ミルは賢明な倫理哲学者だったと思う。かれの『自伝』での忠告が最も役に立つ。自称知者どもの社交界には一切、近づかないことなのだ。そういう場に出入りしている者は悉く俗物であり、ひととして模範に足らないどころかうぬぼれだけで世間を睥睨し、肩書知者面したいだけなのである。
 この世に立派な読書人がいれば、その人は孤立していて、世間に出ていない。無論、無名の筈だ。そうでなければならない。いうまでもないがあの下衆な大衆商業界である東京にそんな人が、ひと時でも安穏と生きていられる筈もないだろう。

 私は地元が偶々茨城県だった。そしてこのことは結果として幸運だった。東京にうまれていたらどうなっていたことか。芥川龍之介級に絶望していたに違いない。自分の地元は北茨城だが、どれだけ高尚な事をしていてもみな放置していてくれる。
 もし地元が東京でそこに住んでいたら、ひたすら同調圧力で卑俗な物、低俗な物を造れと無言の圧力がかけられていた。自分が住んでいた間もそうだった。だから東京圏の芸術家で見るべき人はまだ、妹島和世さん一人しか知らない。このひとも茨城の人だ。実際に会って話した感じ、タバコを吸うのは健康の為やめた方がいいとは思ったが、あの質実剛健を是とする正直な感じはいかにも日立人であって、ちゃらちゃらした東京にそこまで心からは染まっていないと思われた。
 石原時代の都庁に架かっていた東京ワンダーサイトの受賞作品は、奈良美智まがいの悪質な漫画の様なものだった。自分は新宿にあった専門学校の行き帰りなどよく近所を探検していたが、都議会上の前の壁でそれをみて、石原や東京の文化的な質の低さや底の浅さ、悪趣味な軽薄さにこれもまた文化衝撃をうけた。石原都政なるものは全国を脅迫して空威張りばかりしていて中身はこんな連中なのかと、普通に軽蔑していたものだ。