2021年3月13日

美術や詩の原型

美しいものを生み出せる、ということは、その原型がすでに自分の中にあって、その姿を作業の中でこの世に留められるということだ。だから美術家らが何かしら美しくもなんともないものを量産している場合、その人の脳内には、この優れた原型がない。

 言語が使える全ての人は何かしらを語っているが、それらのどれも詩的な響きを伴っているわけではない。取るに足りない雑談を好む人々は一様に俗悪で、記憶するのにも不快な思い出ばかりを残していく。
 だが余りの尊さに魂を震わせ、人を感激させる忘れえない言葉は詩であり、うたであり、それはやはりこの原型を既に心の中に持っているかどうかにかかっている。