「頭の悪いジジババはテレビ映りで政治家を選ぶ、ゆえにハーバード大学とかで政治学を専攻した人をタレント議員が人気で抜くのはフェアじゃない」とするツイートをみた。
これはいくつか間違いを含んでいると思う。一般論として精神年齢は高い方が高度な判断ができる。幼稚な方が複雑な思考がしづらい。
次に「頭の悪い高齢者」のみがテレビ映りで政治家を選んでいるのではなく、「頭の悪い人々」がテレビ映りで政治家を選んでいる訳で、大衆迎合主義・人気主義(ポピュリズム)による選好度は、年齢と関係ない。寧ろ政治的理解力の低さと関係している筈だ。
日本での観察例だと、タレント知事を選び易いのは、東京・神奈川・大阪など大都市部で、宮崎や長野の様な例外もあるが、総じて大都市部ほど「政治的理解力の低い」人々が多数派を構成している可能性がある。その意味で人気主義は大都市部ほどはびこり易い、政治的迷走の現象だと思う。テレビの影響度が、人気主義の浸透度にどれほど関係しているかだが、Media Gaugeテレビとの総接触率データ(2017年9月の毎分データの平均値)では特に都市部ほどテレビ視聴率が高いという訳でもなさそうなので、直接の関係はないのではないかと思う。単に大都市部には低教育な人々が単純労働需要の為に集まり易いのだろうと思う。
更には、「ハーバード等の有名大で政治学を専攻したか」と、政治力に直接の相関があるかだが、政治学者としての才能と、政治家としての才能とが、厳密に一致しているかでいえば決してそうでない。但し、安倍晋三の様に基礎的法学の理解すら欠けている例をみるに、善政には政治学が必要といえるだろう。ただ、政治学を知っているかどうかと、有名大学でそれを専攻したかに直接関係があるかといえば必ずしもない。独学でも政治学を修める事はできようし、有名大の学位が厳密に全政治学の網羅的知識なり、政治的知恵の独創性を証明している訳ではないからだ。何より、理論と実践は根本から異なっている。