2020年1月18日

『荒野行動』の機動作戦は武士道の戦記物みたいでシミュレーションアートとして相当優れている

『荒野行動』ってゲームに機動作戦というモードがあるんだけど、僕はこのゲーム全体でこれだけとても好きである。かなり面白いけど、はじまって2年たつけど期間限定でしか開放されないので、たまに登場した時に集中してこれだけやっている。
 で、きのうの夜ねるまえにやってたら次のことが起きた。

 このモードを簡単に説明すると、荒野はいわゆるサバイバルゲームを仮想現実の空間でやる遊びなんだけど、15人ずつ3チームに分かれて(さらに仲間の細かい状態までわかる自分の班は5人ずつの小班に分かれて)、合計45人で何回相手をダウンさせたかを競う。
 何が面白いかというと協調が起きる。
 5人とか15人の単位で、勝利という共通目的があるので、別に頼まれたでもないのに助け合う行動に利点がでてくる。それぞれの人の自由の中で、敵を倒しに行くか仲間を助けるかなど即時判断の選択肢がふえて、瞬間瞬間に複雑な状態ができる。そうすると、人間ドラマみたいなのが生じる。

 きのう起きたのは、だいたい、敵チームがまったくいない場所に仲間がみんな空から降りて作戦展開してると、おわりまでの制限時間は12分だったか割と短いので、ほかのチームが得点かせいでると出遅れてしまう。
 それで自分は車をもってきて仲間を待っていた。仲間のせて敵いる場所まで移動する為。
 そしたらある男アバターのやつが近くの建物からでてきて、僕が持ってきた車に乗り込んだまではいいんだけど、勝手に運転してひとりで敵の場所まで行こうとしだした。
 もっと仲間のせれるピックアップトラックなのでちょっと待てよって話で、しかも僕が持ってきたんだけど、と思い威嚇射撃した。

 これはほかの人もよくやる行動というか、いちおうチャットも使えるんだけど便宜的なのだし瞬間にはできないので、車を後ろから威嚇で数発撃って「ちょっと待って!」って知らせる行動はよく、機動作戦の中でみられる。

 で僕もそれをやったんだけども、止まる気配がないんで試しに車両破壊してみた。

 この数回前の機動作戦で全く違う状況で、孤島でみんなを待っててくれた親切なボートの運転手がいて、僕も含めて5~6人くらいそれに乗ってたら仲間の中のアホが、ふざけてだろうけどボートがぶっ壊れるまで銃撃してみんなダウンした。
 子供もいるしたまにあるし、僕は定型句でナイス! と押した。

 しかし、今回は明らかに、君だけ抜け駆けしたらいけないでしょ、僕の車で、と説教を少し強めにいうつもりで僕は自分がもってきたトラックを少し多めに威嚇射撃で破壊後に、ダウンした男を助けてあげたのであった。
 まあ、ああいうの一度やってみたらどうなるかな、と瞬間判断で実験したんだけども。
そしたらである。
 この男は大発狂しだした。シネとか左上の名前のところにチャットが出るんだけどもそこに書きまくっていた。いや君、僕がもってきた車を奪って、仲間置き去りにしてんだけどって話なんだけども、たかがゲームでマジギレにも大分びっくりした。しかも蘇生までしてあげたんだけども。

 その後このアバターを観察してたらまあ確かに大分敵を倒す方面では活躍していたので、単に、利己的な男の様だった。しかしこれは全体でも小さなことであるが色々な武士道が瞬間ごとに再現されて僕的にはかなり面白いのである。

 人が戦場でどう振舞うかのゲームが武士道だったといっても過言でない。

 そんで、この男がどこの人だったかというと兵庫の人だった。自分で名乗れるしくみがあって、県名くらいの地名まで名のある武士はかんむりがつく。
 僕はそれで思い出した。茨城の真壁あたりから兵庫の赤穂まで、忠臣蔵おこした侍が国替えで行ったことあったなあと。あの時に比べると懸隔の差だなと。

 機動作戦を僕は勧めてるわけではない。しかし『源氏物語』より『平家物語』のほうが何千倍か優れた文学だな、と思ってる人にとっては、すなわちもののあわれみたいなナヨナヨしたのよりむしろ、友情とか正義みたいな雄々しい徳といえるのに惹かれる性質を持ってる人にとっては、結構、侍っぽい遊びだ。
 ちなみに『荒野行動』の通常モードのほうは、そこまで戦記物状態の劇が生じなくて、間伸びしている点で面白くない。通常モードは1度しぬとおわりで生き残るほど上位に入ると30分とかかかるが、MMOのキルゲーと勘違いしてる人多いけど飽くまでサバゲーなので逃げ系の戦術要素が有効だからである。
 なにがいいたいんですか?
 というと、戦場でのちょっとした行動で、武士の気位が分かるんだなあという話です。武士ってか兵士かもしれないけど、ちょうど自分が関が原とかの戦地にいるのが擬似的に再現され、色んなところからきたもののふたちがどう振舞うか、武士道的な道徳を観察できるのです。