2019年8月11日

夏日夕立

君しらぬこの世は闇夜唯一つ光る明りを追い駆けている
世の富を幾ら集め尽くしても君へ捧げるかなしさのはか
既になき影も形もわが心埋め尽くしける夏日夕立なつびゆうだち
虫たちの歌う夜更けにかすかなる潮の香届きわれは息つく
散りゆくもいとしき姿目に浮かぶ百合ゆりはな咲く季節巡りて
わが書斎網戸に顔を近づける紫陽花あじさいの影おちている初夏