某少年ユーチューバー(明らかな天才)を全力で集団虐めしている人達の心理分析、彼ら集団虐待者のもっている社会病理の分析の方が、すでにユーチューバーとして大成功を収めつつある少年自身のおそらく無問題な将来の心配より、はるかに急務なのはまちがいない。一体何が彼らにそうさせるのか?
「なぜゆたぼん氏を集団虐待する衆愚がわいているのか?」
学歴差別主義仮説。安冨歩氏がいう「学歴差別」による人間評価の単純化を求める衆愚が、文科省の指導(不登校を一律に否定してはいけない)に逆らってでも、旧態依然の一様教育体制を全員に強要したがっている説。
私はこの仮説の信憑性がかなり高いとみる。というのも、幾人かゆとり世代の価値観を私が見たかぎり、彼らの中で学歴差別主義が詰め込み世代以上の人達よりはるかに強く信用されている人種差別の信仰らしいとわかったからだ。統計的サンプル数として少なすぎるから、社会科学としては仮説にすぎないが。彼らがなぜそれほどまでに学歴差別主義を激しく信奉したがっているかだが、安冨氏がいうとおり就職人事上の差別を前提に、それ以前の段階でも人間を受験偏差値で序列化する目的らしい。しかしこれはゆとり世代の一部の人間が多重知能(Multiple Intelligence, MI. IQに限らず色々な知能特性があるとする理論的見地。当然そこでは日本の受験勉強式ペーパーテスト成績以外も各知能の高度さの要素になる)を理解していない、人間性または脳の分析に適用するにはあまりに単純すぎる一律的指標を旧態依然に採用していると示すだけだろう。では他世代は?
学歴差別主義以外の目的で某氏やご両親をそしっている社会的犯罪者たちは、おそらくだが、彼ら以外のなんらかの炎上中の人達へも、ストレス解消などを目的に攻撃をくりかえし恥じていないのではないだろうか。たとえば小保方氏、小沢氏、ベッキー氏など。集団虐待自体を目的にしている大人がいる。学歴差別主義仮説だけで説明しきれない部分だが、このファシズムじみているほうは、いわゆるネットの荒らしとほぼ重なる層だと思われる。荒らし自体はネット利用者全体の6%ほどといわれている(以下の論文)から超少数派ではある。つまり彼ら集団虐待者は炎上により可視化された荒らしなのだろう。
("Trolls just want to have fun" Erin E.Buckels etc. Personality and Individual Differences Volume 67, September 2014, 2.2.2. Favored activity when commenting. 参考ページ)
結論をいうと、某少年を攻撃している人達には主に2種類がいると私は考える。1種は多重知能説を単に知らないため学歴差別を素で人種差別に適用可能と考えている衆愚。もう1種は衆愚による放火へ悪意で自らも参加している単なる荒らしである。このどちらも日本語を扱える人達全体でみればごく一部と考えられる。
ネットテレビや新聞等が反応し、話題の人物としてとりあげたため、もともと少数派だった学歴差別主義の衆愚や、さらに彼らを踏み台に加虐を楽しもうとする超少数派の荒らしが、ネット中から一箇所に集中しはじめた。それが現時点の某氏をとりまく状況ではないだろうか。
サイバーカスケード(ネット上の意見が極端なものに先鋭化しやすい現象)やエコーチェンバー(閉じた空間で少数派の意見が反復されてしまう現象)の負の面が、某氏への無意味なそしりとなって増幅されている。彼と彼のご両親がそれらを完全に無視し、正論をはっきり述べる姿勢を示しているのは賢明だ。
かつてイエスは彼の宗教革命論を堂々と述べ続けた結果、保守派から罠にかけられ、惑った民衆から濡れ衣を着せられ、犠牲となった。ソクラテスも類似のスケープゴート(いけにえ)だったといえる。私が危惧しているのは、このまま司法が裁判員により堕し、衆愚的判断を下したとき彼が犠牲になる可能性だ。
それ以前の段階で、学歴差別主義の衆愚や、荒らしは全体の一部にすぎないとできるだけ理論的にはっきり示しつつ、罪もないのに犠牲にされかねない某少年の擁護側に立つのが良識というものだろう。ネット上の悪意が行ってきた数々の救い様のない集団犯罪の中でも、今回のは特筆すべき事件だと思う。