2019年6月23日

世界宗教が独身主義なわけ

人生は卑しい人々から遠ざかる修行だ。この行が最も難しく、また実現できれば最良の結果を伴うのは明らかで、我々の社会性を諸道徳により統御することを意味している。
 我々の人生に不幸をもたらし、暗い影を落とすのはほぼ全てが卑人の影響だ。卑人とは悪徳にまみれた愚者を指す。交際の範囲が広いほど人は卑人から悪疫を受け易い。だが人類は社会に接さずには利便を得られず、誰とも関わらないで生きるのは難しい。この為、結局は交際相手を厳選するしかない。即ち交際相手の徳を十分に鑑み、つきあうに足る人のみに接触を限定しなければならない。困難なのはそもそも徳の高い人にしてみれば世人は悉く自分より卑賎なので、交際自体に害があることだ。だからつきあうに足る人が全く見つからないのが当然で、辛うじて部分的に徳が低いとは言い難い者が見つかる程度であろう。その様な者でさえ諸々の悪徳からくる諸害は甚だ大きいので、常に世話の必要が生じる。こうして俗人と交際すること自体に根本的な不条理があるので、為すべきは独居独行を修養することになる。
 無論、自らより優れた徳の持ち主がいればその者に臣従すればよい。