2019年4月28日

ロンギヌスの槍で悠仁を脅迫する犯人の思想は神聖政治への象徴的否定の可能性がある

アニメ『エヴァンゲリオン』のロンギヌスの槍に似せた刃物を、悠仁の机に置いて、キリストの受難を象徴させるという脅迫事件。確かに中国神話の三皇の一人であるところの天皇を名乗る一門は(神武の中国大陸からの)渡来以後、日本人らを大量虐殺し奴隷化してきた訳だが自ら神聖政治ごっこをしている。犯人は王権神授説の否定を、アニメの概念を使って象徴化していると。それでリテラというサイトが煽ってたからヤフーのコメント欄をみてみたけど、どうも一般国民側はまだ天皇の王権神授説を全く疑っていない。つまり犯人の意図は伝わってない様で、ただの猟奇性の脅迫罪と見ているだけみたいだ。
 それで考えたが、もし悠仁が暗殺されたら女帝になるか、最低でも憲法改正に繋がるので、安倍陣営にとって表向きいわないだろうが好都合なんじゃないだろうか? つまり犯人の思想内容が右翼の可能性も十分ある。
 反天皇的なものに安倍ファシズムも含まれていて、一部が天皇制ファシズムと対立している。安倍ファシズムは長州閥がスコットランド商人の武器で国内外を侵略開始してから、マキャベリズム的な暴政が至上原理となっているものの延長にあって、権謀術数によって松陰イデオロギー、即ちここでは中華皇帝制的な一君万民論を推進するのが目的である。一方、天皇制ファシズムはただの世襲独裁だ。長州閥及び安倍ファシズムは皇室が自らの権力に服する限りで天皇を祭り上げるが、それと矛盾するなら天皇制に改変を加えたり、究極のところ天皇を否定する。実際、長州藩士は蛤御門の変で御所に発砲したり、二度の長州征伐で天皇軍(当時の幕府軍)と戦っているし、松陰も最後に天皇を否定していた。
 で、天皇の側は単純に自分の権威権力を世襲で最大化する為に権謀術数を駆使する。この悠仁脅迫犯の思想内容がどの様なものかまだ分からないが、少なくともその天皇の聖性を象徴的に否定している。いわばジョン・ロックが329年前に『統治二論』でやったことを、オタク言語で政治犯罪としてやっている。安倍陣営は他の長州閥同様、天皇の主張する聖性(宗教権力、或いは権威。自らの中国系の先祖を中国神話の三皇の一人と同定させようとする神道イデオロギー)を幕末期から、自身の権力を補完する手段にしている。この意味でリテラ的な反安倍・親天皇の文脈が、尊王論の変種として出てくるわけだ。
 一方で、ヤフーコメント欄にみられる一般国民側はこの様な政治・宗教的な文脈を認知できず、悠仁がただの子供で将来の天皇だという前提に立ち、御茶ノ水中学より学習院の方が警備がましだった、また下種の勘繰りで紀子のせいだ、眞子の小室との結婚が呪われている、文仁が悪い等と妄想に耽っている。
 他にフェミニスト側は、国連と同意で、明治天皇制の延長にある現憲法下の天皇が男系相続のみなのは性差別と考えて然るべきだから、極端な反天皇論者でなければ悠仁暗殺を容認まではしないだろうが、憲法改正を名誉または国民の自由を自民党が制限可能と考える安倍陣営同様、暗に都合がいいわけだ。しかも天皇家には女帝が8人10代いたのみならず、尊王論者かつ妻が皇族でも光圀のよう万代一系論をとる立場からは、男系相続に限るとした明治以後の皇室関連法は、右翼の中でも意見が分かれ、いわば不純なものに過ぎない。なぜなら女性天皇、女系天皇いずれも認めず天皇廃止より存続がましだからだ。
 こういう神道政治全体の流れを思うと、悠仁が或る政治犯によりロンギヌスの槍(磔刑後のイエスを突いて死を確かめ、キリストの聖性を否定した遺物)で脅迫されているのは、象徴的には、政教一致と政教分離の戦いといえる。前者は現日本政府の国家権力、後者は安倍陣営を部分的に含む革命勢力なわけだ。一般国民側には小室圭氏の資質が皇族に適わないと見る、いってみれば神道や世襲政治にかこつけた人種差別主義者が大勢いるのは、リテラやヤフーのコメント欄が指摘する通りであり、ここには政教一致を存続したいとする保守的願望が含まれている。眞子や佳子は秋篠宮家の教育方針で世俗化しているのに。天皇を神聖君主に偽装させようという一般国民側の願望は、眞子の世人ならよくある事例に過ぎない小室家との婚姻を強烈に否定させたがっている。特に小室家の借金問題は、結婚代として国税を使って返済する結果になりそうなので彼らから非常に嫌われている。つまり今の一般国民は政教一致主義者なのだ。
 文仁は民主主義を皇室の為に尊重するのが是と考える世俗化志向の持ち主であり、故により一般国民に近い存在に自らの子供を育てようとしてきた。そして実際に眞子の配偶者選びによってこの成功が明らかになった訳だが、逆に一般国民の皇族への神聖視願望との矛盾と軋轢が発生してしまった。悠仁もまた眞子同様、秋篠宮家の世俗化教育と、一般国民側の神聖視願望との摩擦に巻き込まれている。特に今回の事件は政教分離派の中でも過激な部類の政治犯罪といえるが、本質的には未来の天皇の聖性を否定する目的がありそうだと類推できるので、一般国民側にとって神聖政治継続への危機に見えると。
 更に巨視的には、他先進国で政教分離原則はジョン・ロック以後かなり長期に渡って検討され、解決済みの政治体制なので、一般日本国民が何に世惑っているかほぼ理解できない筈だ。まさか日本人一般にとっていまだに天皇や皇族が神聖性を帯びてもらう教祖だとは、一般的な外国人には信じられないわけだ。悠仁がただの子供なら、聖性を否定する遺物の様な脅迫装置などを机に置かれるべくもない。彼がもし単なる世俗的な君主の末裔で、次の象徴的な王であったとしても、わざわざロンギヌスの槍で脅迫されはしなかったろう。非近代的な神道政治の根本原理が脅されているのだと見て間違いないと思われる。