2019年3月21日

某偽史書は単なる浅はかな小説

話題の本を手に入れてしまった。自分は幕末については自分の限界まで調べた経験があるからその記述を読めば大体どのくらいの史学水準の人かわかってしまうのだが、この人は作家であって史家ではないね。資料の記述がないのがそれを証明しているし、考証の態度ではない。当人の主観を記述している。一々下らない論争に巻き込まれたくないから具体的書名も挙げないけど、これは完全な俗書です。省みる価値は先ずないし、小説なのに史書の体裁をとるという悪質なものだね。目的は洗脳でしょう。
 案の定、文系学問に弱い某脳科学者が褒めていた。将来の日本人の子供がこれを規範にしたら悪影響だ。特定学位の後光効果と、知性の深さ・広さはまったく別のものだ。或る学問の博士号自体、当該分野について単なる論文執筆時に調べた専門知識の一部しか問われないのに(修士論文も院試も網羅的ではない)、その権威を悪用して万能ぶるから誤解を招く。通俗書を愛国的だとか言って褒めるのは余程馬鹿だ。
 何しろこの俗書、自分が書いたウィキペディア上の記述をそのまま載せてある。勿論、その記述を当人の妄想に都合がいい歪めた観点で、自説の補強の為に無断引用してある。根底にある史実には興味や理解を示さず、執筆者は当人の妄想を優先する、歴史の表面だけなぞる非常に浅はかな人である。