月はあかつきの空を静かに点打ち
私は誰もいない海の前で波の音を聴く
この地平線の先になにもなくとも
旅に出た人はいずれ夜に横たわり
涼しい木陰に置いた小さな椅子に座り
頭上に咲いた満天の星空になにをおもうだろう
無限の宇宙の一点として
君が生まれきたことが奇跡なら
なにも伝えられず死んでいくのも
なにも与えられず
ただ君が救われるよう祈るのも奇跡
雨が山から湖にくだり清流から川となり海に注ぐ
どの瞬間にも変わらず僕は君を想い
時の流れゆくまま星屑の上で手紙を書く