2019年3月29日

成熟した国は人型でなく抽象概念に象徴されている

なぜ愛国者にとって日本の幸福度が高いと思うか、の理由をこの返信欄からみてとると、「隣国よりまし」「外国よりまし」と比較に根拠を求めているのと、「とにかく日本が大好き」「日本を嫌う人間は大嫌い」という信仰に根拠を求めているのがある。後者はただの確証バイアスだが、前者も先進国と途上国を比べていたり(例:水道が飲める)、価値観が違うと自己正当化したり(例:租税負担率を出して上位の北欧と比べる)するから公平な比較でない。
 結局、愛国心というのは確証バイアスの元に有利な証拠を集める脳の働きを指している様だ。もし右翼や差別的な考えと低IQに正相関がある、という研究結果が事実なら、偏見を強化しやすい脳の働きと愛国心の間には有意な相関がみいだせるかもしれない。自集団ひいきの妄想を共有しようとするのが、愛国者の考え方の基本ルールなら、その信仰的な側面に、皇室が寄生しているのは不思議ではない。
 福沢諭吉が、皇室は愛国心を具体的な形でしか理解できない愚民を洗脳する方便だといっていたが、確かに精神的に幼稚な子供は抽象概念を理解できず、物語や絵本でのたとえ話しかわからない。象徴という抽象概念を理念におきかえているのが成熟した国、具体的な名目君主の人型にしているのが未熟な国。