2019年2月19日

心の価値は体の価値の上位にあるという伝統的な美意識の名残が日本にはある

三島由紀夫「アメリカ流の肉体崇拝は、プラトニズムの堕落」
 日本の武士道倫理的な伝統の中では、心の価値の前で見た目の美醜を言うのは下品なこと。アメリカかぶれの人達や、主に東京都の町人階級の末裔にあたる人達が、人の価値として見た目の美醜を強調しだした。男女の別は本質的な関係はない。愛子内親王と佳子内親王の見た目は、世俗的な見方ではかなり違うが、皇族に美醜の差別を適用するのは不敬にあたる。これが日本の伝統的な心の価値を重んじるという美意識の名残。
 ブスの語源はトリカブトの塊根を意味する附子とされている。食すると毒で無表情になるので醜女の意。狂言から流行ったと一説にある。イケメンは雑誌『egg』で使われたイケてる(関西弁で魅力的)+men's(男性物)から派生した平成の俗語。
 より古いのはブスだが、更に古い醜男という古語もある。
 醜男しこおは『古事記』で大国主の名に使われていたよう古くからある言葉だが、強く逞しい男という意味もある。美女が択ばれるのは同『古事記』でコノハナノサクヤビメの神話(醜女イワナガヒメを避けて結婚したので皇族は短命になった)が示すよう古代からあった傾向。
 生物学の一説(竹内久美子説など)では、肉体の美醜(左右対称性など)は健康度の目安とされている。俗に(結婚相手の希望等をお見合いサイトなどが調査すると)男性はそれに加え扶養力(資本主義社会では経済力)が重視されるが、美醜も選り好まれるとされる。好みにかなりの幅がある上に、希望の見た目の配偶者の子が得られるとは限らないので、人の見た目はそれぞれ異なっている。