自分が知る限り、ある種の田舎の人(自分が知る限り関東北部の地元や一部の東北人)の素朴さや純朴さが、全人間性の中でも最も尊い要素の1つなのは間違いないと思う。自分がこれまで読んだ色々な文学の中、都会人達や、他国に渡る世知でみたあらゆる人間性と比べても、無垢な純朴さは極めて尊い。
野口雨情は童心という言葉でこれを定義し、生涯の詩作の主題としていた。孟子でいう赤子の心だろう。雨情の功績もあって自分の地元では小学校からその種の精神を羽含む様な情操教育が行われてきた。確かに、自分の中にはその成果がみられる。
自分は新宿の専門学校に行き、都心で学んだが、東京の退廃的な風土にあっても周囲に殆ど染まることなく、初心を保っていた。この意味で田舎を差別していた東京人だの京都人だのは、心が最初から堕落していた。彼らは長く続いた都市文化の中で、退廃を洗練と勘違いしているのだ。