2019年1月27日

東洋大学における竹中平蔵氏の授業中止を求める船橋秀人氏の立て看板をめぐる政経的議論について

竹中氏は新自由主義を日本に導入し、自身は派遣会社で私腹を肥やしてきましたよね。これが中流没落を伴い日本経済を衰退させた、というのは歴史的事実なので、今後も語り継がれる筈です。ただ彼と自民党の癒着関係は堅固、国民全般も自民の失政を理解し改革するような頭はなく、貴君(船橋秀人氏)は孤軍奮闘ですね。
 いま大学生をしている20才前後の人達の殆どは小物で、保身を第一に考え、団塊引退・少子化で就職率が上がってる(但し移民導入中の)安倍政権の間に、自分さえ就業できればと問題を先送りし、日本経済の未来や新自由主義の失敗なんて考える能力も余裕もないでしょう。
 竹中さんは自民党という既得権益に寄生し、大学に天下って学生に相変わらず新自由主義を吹き込みさえすれば、金も権威も地位も得られるので、あなたの反抗を快く思わないでしょうね。しかしあなたの存在は、日本国の若者にも高い志操をもった人物が1人だけでしたが残されているという一つの希望です。
 新自由主義のもたらした結果が明らかに有害なものだったのに、いつまでも自説に固執しているとしたら竹中さんは経済学者として尊敬に足らず、東洋大学が謬説を唱える人を教授にしていることそのものが学問の尊厳に反します。あなたの言論活動はソクラテスと同じかそれ以上に、敬意に値すると思います。
 同一賃金同一労働という尤もな名目で、正社員・非正規社員の区別をなくすべきといっている竹中氏ですが、正社員の特別待遇を今の非正規と同じ有期雇用者程度にせよといっているようでもあり、全体として欧米の悪い面を日本に直輸入する事で、自民党の親米政権から諸々の便宜を得ているわけです。
 日本国の既得権や利権を、米国の日本に対する政治的優位とすりあわせながら、大学関係者として乗りこなす事で竹中氏はこれまでうまくやってきました。そして終生そうしたいと思っているでしょう。しかし真理は政治権力によって歪められるものではない。東洋大の全教授は、あなたを模範にするべきです。
 雇用問題についてですが、欧州に比べ日米の非正規の給与は低いので欧州並みにするという名目でむしろ正規労働者の給与水準を下げさせ、結果、パソナグループ会長の竹中氏ら資本家が更に搾取できるようにする、というのが実態でしょう。経団連企業から政治献金を受ける自民党にも、実入りがあるのです。
 非正規雇用者は正規に比べ不利な労使条件で期間契約を結んでいるのですから、非正規の給与水準を正規以上にしなければならないという法律が必要だと私は思います。同一賃金同一労働の触れ込みで更にピンはねする子供だましに簡単に欺かれている人々が多く、自民・経団連の癒着を打破せねばなりません。
 労働者の給与をなるだけ減らすことで株主資本主義を強化し、米国風の所得格差が更に大きな国にしようとするのが株主側に属する竹中氏の目指す国です。貧富の差を示す日本の相対貧困率は先進国最下位の米国に次ぎ、更にこの差を広めるのは当然、国民全体の不幸を意味します。全て竹中氏の利権でしょう。
 我々一般国民は、竹中氏が自民政権に民間議員等の形で影響を及ぼす結果、大いに実害を受けてきているのです。彼の政商活動に内在する利己性は公人としての資質の欠如を示すといって先ず間違いないと思います。貴君の授業反対は大学内での出来事ですが、彼を政界から徹底排除するのが最も公益的です。
 純粋に経済学的に述べても、一般国民の家計消費に余力がなくなる相対貧困化政策を勧めている、という点で、竹中氏の誤りは確かです。米国経済は貯蓄性向の低さに依存しており、生活保護も受けられるとは限らない高貯蓄性向の日本人は将来不安のため低給与の元では消費しません。給与を上げるべきです。