自分が低俗でない事はそれだけで十分望ましい資質を示している。それは最も隷属的で不利な立場を先見的に避けている証だからだ。
だが俗物根性は高尚さ自体ではない。高尚さは理解に労力のかかる趣味(美的判断)についての能力であり、この資質が高いほど自らを衆愚性から遠ざけ得る。
一方で、俗物根性は理解していない趣味を偽装する態度に当たる。低俗さは趣味について不道徳な状態と等しいが、それ故この属性を持つ者は軽蔑され、多少なりとも知的な人々から避けられる。俗物は低俗さを避けながらも高尚さを理解していない者を指している。