2018年11月29日

商売と芸術

金儲けは何も生み出さない。単に市場に流通している限りある金銭をより多く奪うだけだ。商売は根本的に非生産的で、搾取的である。商人をCreator(クリエイター、創造主、創作者)と呼ぶのは、これゆえ比喩としてさえ根本的に誤っている。
 また諸々の職業の中で芸術家のみが神の模倣者としてクリエイターと呼ばれるにふさわしいが、市場に商品を供給している製造業者らは本質的に芸術の為の芸術を作っていないので芸術家というよりは職人である。純粋芸術家のみが、本質的に無価値と見なされる素材から、その独創的な組み合わせによって重要な価値を生み出せる。
 商売はゼロサムゲームで参加者がふえるほど一人を除き全員が困窮するしくみになっているが、芸術はプラスサムゲームで参加者がふえるほど創造性がまし全員が得をする。市場で取引される商材のうちでさえ、商売と芸術の混同を避けた、純粋かつ独創的な芸術にのみ、本来の価値が宿っている。希少価値という意味でそれがこの世で最高の価値をもつものだからだ。