2018年7月12日

市場本来の目的

人類の善に貢献し我らの状況を改善しようという慈善の基本精神なく、単なる利己心の正当化に自由市場や資本主義を解している人々は、本質に於いて人類全体に公害である。だから市場経済は、国を全体最適の部分とみなすと、巨視的には悪徳を削ぐように働く。つまり市場は害他的な行動系列をもつ人を淘汰する方へ漸近する。
 他方、もともと市場は利他的な目的を等価交換という手段で充実させようとつくられたものだから、慈善活動の完成が真の目的だ。そこで本来は返礼でしかなかった対価を、市場独占や寡占、あるいは交換価値の蓄積による権力の手段とした悪役が現れた。いいかえると利益追求は市場の悪しき副産物で、これは権力の少数者集中をもたらしもした。単独政や少数政が生まれた原因がここにある。
 市場本来の目的を鑑みると、その究極目的は慈善の最大化である。そして利益は市場の需要感応性、必要さが高そうな物事の目安とみるべきものであり、決して絶対的でもなければ、単に市場における供給不足の量的信号という手段であって目的となるべきものではない。利益にならないが、貧者にとって必要さが高い物事が真に市場の果たすべきだった供給である。この種の非利益的需要が常に残っている為、市場経済は万能ではない。市場の不完全さを補完する組織が、非営利活動の一切である。政府一般も、利益を供給の優先度を見分ける手段とする企業と異なる仕方で、慈善を究極目的としたこの非営利活動の一部でなければならない。