愚者と悪人に与えられた金銭は、もっと悪い、もしくは下らない使われ方のすえ社会状況を悪化させる。だから或る地域で愚者や悪人が大金をもっている時、そこの経済は退廃していると考えていい。この種の文字通りの貧民窟では、金利がうらみやねたみの原因としてのみ曲解されているので、商人も起業家精神も、金儲け自体同様に軽蔑されている。その地域もしくはその個人の商業倫理の腐敗度が酷い時には、勤勉自体が無価値もしくは有害とされている場合すらある。
健全な商業が成り立つ為には、賢さが善の位相で功利性に結びつけられている必要がある。即ち成金が軽蔑されるのも、或いは成功者扱いされるのも、裏返せば、その地域の需要民度の故なのだ。